「年金だけではマンションの維持費を支払うのが難しい……」
そう考えた70代のAさん(仮名)は、長年住んだ持ち家を売却し、賃貸への住み替えを決断しました。 しかし、実際に探し始めると・・・
『高齢者向けの物件が極端に少ない』
『かかりつけの病院の近くで探したいのに、予算内で見つからない』
『そもそも売却が決まらないと、部屋探しが進まない』——。
次々と厳しい現実に直面することになります。
高齢期に差し掛かると、Aさんのように、これまで「資産の象徴」と思ってきた持ち家が、突然「固定資産税や管理費・修繕積立金を生み出す金食い虫」に変わることがあります。年金の手取り額が少ない高齢者にとって、その負担は決して軽くありません。
結果として「自宅を売却して現金化し、賃貸に住み替える」という選択肢を考える方が増えています。
本記事では、このAさんご家族の事例を軸に、高齢者が持ち家を売却して賃貸へ住み替える際に直面する「お金」「物件探し」「売却のタイミング」という3つの壁と、その具体的な解決策を詳しく解説していきます。
壁①【お金】:なぜ売却を選ぶのか?年金と持ち家の維持費の現実
統計的に見ても、年金だけに頼る高齢者世帯の暮らしは非常に厳しい状況です。厚生労働省のデータによると、国民年金(老齢基礎年金)の月平均支給額は5万8千円程度。厚生年金を含めても平均は14万円前後と言われています。
一方で総務省統計局「家計調査」では、高齢単身世帯の平均支出は月およそ15万円。つまり、国民年金のみの暮らしでは赤字になりやすく、預貯金を切り崩す生活になりがちです。
マンションを所有している場合には管理費や修繕積立金、さらに固定資産税の支払いも加わります。Aさんも「年金だけではマンションの維持費を支払うのが難しく、自宅を現金化したい」という理由で売却を決断しました。
「持ち家=安心」という時代はすでに終わりつつあり、資産を有効に活用するための売却は、老後の生活設計において現実的な一手といえるのです。
参照元:厚生労働省 「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
参照元:総務省 「2024年 家計調査 家計収支編第6表職業別1世帯当たり1か月間の収入と支出」
壁②【物件探し】:なぜ見つからない?高齢者の賃貸探しが難しい理由
高齢者を受け入れる物件はごく一部
高齢者が賃貸を探す際に最初に直面するのは「受け入れ物件の少なさ」です。
国土交通省「高齢者の居住安定確保に関する調査研究」でも、大家の7割以上が高齢者に対して拒否感を持っており、その理由の多くは「居室内での死亡事故等に対する不安」でした。
Aさんご家族も、インターネットで「高齢者相談可」の条件を付けて検索したところ、見つかるのは築古アパートや古い共同住宅ばかり。利便性の高い物件ほど「相談不可」が多く、選択肢は非常に限られていました。
参照元:国土交通省「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等 のあり方に関する検討状況について(資料内p5)」
保証会社・大家による審査が厳しい
仮に物件を見つけても、審査の段階で落ちることがあります。
Aさんも、ある大手ハウスメーカー系の賃貸物件に申し込みましたが、保証会社の審査で落ちました。理由は明確に伝えられませんが、年齢や年金収入のみといった条件が影響した可能性は高いと見られます。
このように「物件が見つからない」「見つかっても審査が通らない」という二重の壁が存在するため、70代以上での賃貸探しは決して容易ではありません。
住み慣れたエリアを優先するなら家賃の妥協が必要なことも
高齢者の住み替えにおいては「通院の利便性」が大きなポイントになります。
Aさんも「かかりつけの病院へこれまで通ってきた習慣を変えたくなかった」と語り、引越し先の条件は「病院に通いやすいこと」でした。
しかし、住み慣れたエリアや病院の近さを重視すればするほど、その周辺の家賃相場に縛られてしまいます。
現役世代なら収入を増やす努力が可能ですが、年金生活の場合は収入が固定されているため、結局は「家賃の妥協」が必要になる場面が多いのです。
Aさんご家族も希望価格で自宅売却が決定した後、最終的に予算を上げて希望エリアの賃貸物件を見つけました。
壁③【タイミング】:なぜ進まない?「売却未定」だと賃貸探しが難航する現実
売却が決まらないと賃貸探しで相手にされない現実
最大の課題は「売却が決定していない段階では賃貸仲介会社が相手にしてくれない」という点です。
実際にAさんご家族も、複数の賃貸仲介会社に相談しましたが「入居時期が決まってから大家さんに確認します」と言われ、それ以上話が進みませんでした。
賃貸仲介会社の立場から見れば「入居時期が未定のお客様」は契約確度が低く、優先順位が下がるのは当然といえるでしょう。
また、残念ながら、自宅売却後の賃貸探しまで熱心にサポートしてくれる売買仲介会社は少数です。
そのため、売却と同時並行で賃貸物件を探そうとしても、うまく進まないケースが多いのです。
売買仲介会社の選び方にも注意が必要
売却を進めるうえでは、信頼できる売買仲介会社の選定も重要です。
Aさんの事例でも、複数社と接点を持ち対応が良かった売買仲介会社を選んだことで、結果的に早期に希望額での売却に成功しています。
ここで学べるのは「1社だけに任せるのは危険」ということ。複数の売買仲介会社に査定を依頼し、対応力や査定額の妥当性を比較することが、売却の第一歩になります。
【失敗しないために】「売却相場」の把握が重要である2つの理由

理由①:家賃予算を現実的に設定できる
売却相場が分かれば「家賃にどのくらい充てられるか」が具体的に見えてきます。
例えば現在70歳で、住宅ローンなし、貯蓄なし、自宅の売却相場が2,400万円、90歳までの20年間を想定すると、1ヶ月の取り崩し可能額は10万円となります。
ここに年金(たとえば月14万円)がある場合、家賃と生活費の合計が24万円までなら資金計画にゆとりが持てます。
逆に売却相場が2,000万円なら、1ヶ月の取り崩し可能額は約8万円となり、家賃と生活費の合計が約22万円になります。生活費を維持するなら、家賃の予算を落とす必要があります。
家賃設定の考え方は「高齢者の賃貸暮らし:貯蓄ベースで考える家賃シミュレーションについて」でで詳しく解説しています。
理由②:部屋探しのタイムリミットを把握できる
売却成立までにどのくらい時間がかかるかを知っておけば、「引越しまでの猶予」が明確になります。
Aさんの事例でも「長期戦になると思っていたら2週間で売却が決まってしまい、慌てて賃貸探しに追われた」という教訓がありました。
先に相場感を掴むことは、住み替えの失敗を防ぐために、あなたができる効果的な行動でしょう。
効率よく売却を進める「不動産一括査定サービス」の基本ステップ
不動産を売却する際には、複数の売買仲介会社に査定を依頼することが重要です。
しかし一社ごとに依頼するのは手間がかかります。その点、不動産一括査定サービスを利用すれば、必要な情報を一度入力するだけで複数の売買仲介会社から査定を受けられ、条件や価格を簡単に比較できます。
効率的に信頼できる会社を選ぶために、不動産一括査定サービスは大変便利な方法といえます。
ステップ1:不動産一括査定サービスで査定情報を入力
不動産一括査定サービスを利用するなら、NTTデータグループが運営する「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」がおすすめです。国内最大級、2,500社と提携する不動産一括査定サービスで、最大6社に一括査定依頼可能です。大手から地元密着企業まで、売却に強い会社のみ厳選されており、あなたに合った不動産会社が見つかるでしょう。
ステップ2:査定額の根拠を確認
査定がそろったら、単に金額を比較するだけでなく、査定額の根拠を質問することが大切です。近隣の売却事例や相場データを示してくれる売買仲介会社は信頼性が高いといえます。
ステップ3:売却スケジュールを共有する
「どれくらいの期間で売却できそうか」「希望額で売れる見込みはあるか」を確認することで、引越しの目処を立てやすくなります。
売却と並行して進める「高齢者向け賃貸」の情報収集
自宅の売却に目処がついたら、次に必要なのは賃貸情報の収集です。
ここでも、不動産ポータルサイト"だけ"など、ひとつの情報源に頼らず、高齢者向けの物件を専門に扱うサイトにも目を通すなど、複数の情報源を活用することが有効です。
特に近年は、スマートフォンを通じて最新の物件情報を得られるサービスも増えています。高齢の方にとっても、ご家族にとっても、来店は負担になりやすいですが、スマホを使った問い合わせなら気軽にできます。また、相談履歴を残せる点でも家族と共有しやすいメリットがあります。
このように、一般的な不動産ポータルサイトだけに頼らず、高齢者向けの物件を専門に扱う情報源を活用することが有効です。
例えば、私たちアンジュプレイスの公式LINEにお友達登録いただき希望条件を入力いただくと、一般的なサイトには掲載されていない未公開物件をご紹介できる可能性もあります。
売却の目処を立てるのと並行して、こうした専門の情報源も確保しておきましょう。
まとめ:高齢者の住み替え成功の鍵は「正しい手順」と「情報収集」
高齢期の住み替えは「売却してから賃貸へ」という二段階のプロセスが必要ですが、その過程には多くの壁が存在します。
特に「高齢者が入れる賃貸が少ない」「売却が決まらないと賃貸介会社に相手にされない」という現実は、多くの方が直面する課題です。その解決策としては、まず自宅の売却相場と売却までの目安期間を把握し、現実的な家賃予算と引越しスケジュールを立てることが不可欠です。
不動産一括査定サービスを使って複数の不動産会社から情報を集め、売却の見通しを固めてから動き始めれば、混乱することなく次の生活に進めます。そして併せて、アンジュプレイスの公式LINEのような専門の情報源を活用して高齢者向け賃貸情報を収集しておくことで、時間に追われず、安心して新しい住まいを選択できます。
持ち家を資産として最大限に活かし、安心して暮らせる賃貸生活へ移行する。そのための第一歩は「状況を正確に把握すること」です。焦らず、しかし確実に準備を進めるようにしましょう。