高齢化が進む日本社会において、安心して住み続けられる住まいを求めるシニアの方々も増えているのではないでしょうか。内閣府の「高齢社会白書(2021年)」によれば、65歳以上の一人暮らし高齢者の持ち家率は66.2%ですが、残りの約3割は賃貸住宅や施設で暮らしています。総務省「家計調査年報(2024年)」では、65歳以上の無職単身世帯の月あたりの支出は平均14万9,286円とされていますが、その中でも住居費の割合は人によって大きく差があると思われます。こうした中、これから高齢期の住まいを選ぶ方にとって「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)」や「老人ホーム」といった施設型住宅と、一般的なシニア向け賃貸住宅の費用差やサービス内容の違いは気になるトピックではないでしょうか。本記事では、シニア向け賃貸の費用感を中心に、サ高住や老人ホームとの比較、通常の賃貸物件よりも費用が高くなる理由、そして自分に合った住まい選びのポイントを詳しく解説します。参照:令和3年版高齢社会白書|内閣府参照:家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要(PDF:577KB)シニア向け賃貸の費用感とその特徴シニア賃貸の費用相場シニア向け賃貸住宅は、手すりの設置や見守りサービス、緊急通報システムなど、シニアの生活に配慮した設備・サービスが付加されています。そのため、家賃や管理費は通常の賃貸物件よりはやや高くなる傾向があります。費用の一例として、リコーリースのシニア向け賃貸住宅「アンジュプレイス」はワンルームや1LDKの25㎡~40㎡のマンションが中心で、家賃はおおよそ10万円~20万円程度となっています。「アンジュプレイス」は都内限定での展開となっていますが、地方や都市部から離れたエリアでは5~10万円程度の物件も見られます。もともとシニア向け賃貸住宅は供給数自体が少ないため、マンションかアパートかといった建物の種別や、駅徒歩分数、築年数などにもよって費用感も変わってきます。希望されるお部屋の条件をある程度絞り込んだ上で比較することを意識してみてください。サービス内容と費用のバランスシニア向け賃貸では、介護や食事サービスは基本的に含まれていませんが、必要に応じて外部サービスを利用できる自由度があります。過剰なサービスがない分、同一エリアで比較したときには、老人ホームやサ高住に比べて月額費用が抑えられるケースが多いでしょう。高齢者向け住宅の種類やサービス内容については、こちらの記事でも解説しているのでぜひ参考にしてみてください。サ高住・老人ホームとの費用感比較サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の費用感サ高住は、バリアフリー設計の賃貸住宅に見守りや生活相談サービスが付いた住まいです。シニア向け賃貸では食事がついていないのに対して、サ高住では食事付きの施設も存在しています。費用の参考として、国土交通省が発表した令和5年8月末時点のデータでは、サ高住の月額費用(家賃、共益費、サービス費)の全国平均は11万円、大都市圏に絞ると平均12.7万円となっています。内訳は家賃・共益費・サービス費(安否確認・生活相談など)で、食費や光熱費は別途必要な場合が多いです。一方で、老人ホーム・介護施設検索サイト「LIFULL 介護」の2024年掲載データ(全国)を集計した調査結果によると、入居時費用ありの施設の月額平均費用は約17.2万円で、入居時費用無しの施設の平均費用は約15.4万円となっています。東京都に絞ると入居時費用あり施設で平均約21万円、入居時費用無し施設で平均約20万円となってくるため、都内では15万円~25万円程度が相場になってくると言えるでしょう。入居時費用も施設によって異なりますが、近年では入居一時金不要のプランを準備している施設も出てきています。参照:サービス付き高齢者向け住宅について-高齢者の住まいについて-(国土交通省)参照:サービス付き高齢者向け住宅のトレンドデータ(2025.2.20)|株式会社LIFULL老人ホームの費用感老人ホーム(介護付き・住宅型有料老人ホーム)は、介護や食事サービスが充実している分、シニア向け賃貸と比較すると総額の費用は高めになります。PwCコンサルティング合同会社が実施した「高齢者向け住まいにおける運営形態の多様化に関する実態調査研究事業 報告書」によると、介護付き有料老人ホームでは総額費用は月額平均約26万円となります。一方で住宅型有料老人ホームは月額平均約12万円となります。住宅型有料老人ホームの場合、利用者が必要な介護サービスを選択して料金を支払うため、介護付きと比較して平均費用も安くなっています。なお特別養護老人ホームなどの公的な施設では、月額5万~15万程度の施設もあり比較的安価ですが、入居要件や待機期間があるため、誰でもすぐに利用できるわけではありません。参照:【PwC】「高齢者向け住まいにおける運営形態の多様化に関する実態調査研究事業」報告書(令和6年度厚生労働省老人保健健康増進等事業)シニア賃貸が高いとされる理由と、費用を抑えるコツシニア賃貸が通常賃貸より高いとされる理由シニア向け賃貸は、手すりや緊急時の対応システム、見守りサービスなど、通常の賃貸住宅にはない設備やサポートが付加されています。これらの設備投資や人件費が家賃や管理費に上乗せされるため、どうしても通常の賃貸物件よりも高いと感じがちです。一方で、老人ホームやサ高住といった施設探しをされた経験のある方であれば、シニア向け賃貸の費用感を安いと感じられるケースがあります。費用を抑えるためのポイント付帯する各種サービスやサポートがあってこそシニアの方でもお部屋を借りて生活できる仕組みとなっているため、これらのサービスを無くしてもらうことは難しいでしょう。そのため、シニア賃貸の費用を抑えたい場合には、希望する物件のエリアや広さの優先順位を下げてお部屋探しをすることをオススメします。長年住み慣れた街を希望されるシニアの方はとても多いのですが、少しエリアを変えるだけで賃料相場が大きく変わるケースもあります。駅から近い物件は人気が高く、会社員や学生などですぐに埋まってしまうことも多いです。バス利用を前提としたエリアや、近隣駅なども検討範囲に含めることで費用を抑えられる可能性は高くなります。また、広いお部屋を希望される場合はどうしても費用が高くなります。引っ越しのタイミングでこれまでの荷物を整理して、お部屋の広さを許容することによっても月々の支払い額を抑えられる可能性があります。自分に合った住まい選び住まい選びで大切な視点シニア賃貸、サ高住、老人ホーム――それぞれの住まいには特徴があります。大切なのは、「自分がどんな暮らしをしたいか」「どこまでサービスを必要とするか」を明確にすることです。健康状態や家族の支援体制、将来の介護リスクも見据えながら、柔軟に住み替えられる選択肢を持つことが日々の安心につながります。これからのアクションまずは、現在の生活費や将来の収入・資産状況を整理し、無理のない範囲で高齢期の住まいの予算を設定しましょう。その上で、複数の物件や施設を見学し、実際のサービス内容や費用の内訳を確認することが重要です。必要に応じて、家族やケアマネジャー、地域包括支援センターなど専門家のアドバイスも活用しましょう。まとめ高齢化社会の進展により、シニア向け賃貸への関心が高まっています。シニア賃貸は、通常の賃貸よりは高めですが、サ高住や老人ホームのようなサービスがない分、費用を抑えつつ自分らしい生活を実現できる選択肢です。今後の住まい選びでは、「自分に本当に必要なサービスは何か」「どこまで費用をかけるべきか」を見極め、納得のいく選択をしてください。地域や物件によって費用差が大きいため、複数の選択肢を比較検討することが、安心と満足につながります。東京都内の都心部で、利便性も維持しつつ安心な暮らしを送りたい方は、ぜひリコーリースのシニア向け賃貸住宅アンジュプレイスを検討してみてください。今回の記事が、皆様の住まい選びにおいて、少しでもお役に立てれば幸いです。