少子高齢化が進む日本では、住宅事情も大きく変化しています。
総務省「令和5年 住宅・土地統計調査」によると、65歳以上の単身世帯や夫婦のみの世帯は増加傾向にあり、今や高齢者が自ら住まいを選び直すケースは珍しくなくなっています。
しかし一方で、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会のアンケートでは、約6割の大家は「高齢者の入居に抵抗を感じている」と回答しており、シニア世代が賃貸住宅を探すには特有の課題が存在します。
「まだ元気だからどこでも入居できる」と気軽に物件探しを始めると、後で思わぬトラブルに直面することも少なくありません。
本記事では、シニア世代が安心して賃貸住宅を探すために知っておくべき7つのチェックポイントを解説していきます。
参照元:総務省|令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果 (図8-2 高齢者のいる世帯の世帯の型別割合)
参照元:【令和3年度国土交通省調査】(公財)日本賃貸住宅管理協会の賃貸住宅管理業に携わる会員を対象にアンケート調査(資料内p5)
1. 売却のタイミングは慎重に
持ち家を売却して賃貸に移ろうと考える方は少なくありません。
しかし不動産市況によっては思った以上に早く売却が進んでしまい、一時的に住む場所がなくなるケースもあります。
特にシニア世代では仮住まいを探すのも一苦労になるため、売却と新居探しは並行して進めることが重要です。
今の家を売ることだけを優先せず、新しい暮らし先を確保してから手続きを始めることで、生活の空白期間を避けられます。
2. 身元引受人の必要性を理解する
高齢者が賃貸契約をする際、多くの不動産会社やオーナーは「身元引受人」の提示を求める傾向があります。
これは、入院や万一の事態に備えるためです。しかし、親族も高齢化している場合や、子どもが遠方に住んでいる場合はすぐに対応できないこともあるため、事前に相談し合っておく必要があります。
「身元引受人」についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。言葉自体も初めて聞いたという方も多いかと思いますので、ぜひご確認ください。
3. 将来の身体状況を想定した物件選び
賃貸住宅選びでは「今の生活」に合わせるだけでなく「これからの体の変化」を考慮することが欠かせません。
現在は階段の上り下りができても、5年後、10年後には難しくなる可能性もあります。
エレベーターの有無、バリアフリーの設計、駅や病院までの距離距離や坂道のアップダウンなどは、後々の生活のしやすさを大きく左右します。
内見のタイミングでも、長く住むことができる場所かどうかをイメージしておきましょう。
4. 家賃や生活費を長期目線で考える
シニア世代の収入源は年金が中心となるため、賃貸物件を選ぶ際には長期的な生活資金計画を立てる必要があります。
例えば、平均寿命までの20年を想定した場合、月々の家賃に加えて光熱費、医療費、介護費用が上乗せされることを考えると、将来的な負担が予想以上に大きくなることもあります。
家賃を低めに抑えたとしても、生活の質を維持できる範囲であるかを見極めることが大切です。
5. 将来的な住み替えの可能性を想定する
賃貸住宅に住み始めても、介護が必要な状態になると一般的な住宅で暮らすことが難しくなる場合があります。
サービス付き高齢者向け住宅や介護施設への住み替えを余儀なくされることも少なくありません。
そのため、最初から「次のステップ」を見据えて安心できる選択をすることが、将来の不安を減らす要因となります。
住み替えを想定し、地域の施設情報や相談窓口を把握しておくと、必要な時にスムーズな移行が可能です。
6. 見守りサービスの利用を検討
一人暮らしのシニアにとって不安なのは、急病や転倒などの「もしもの時」です。
最近は賃貸物件にも緊急通報装置や見守りサービスを導入するケースも増えています。
また自治体や民間事業者が提供する「高齢者見守りネットワーク」を利用できる地域もあります。
これらを上手に活用すれば、家族が離れて暮らしていても、日々の安心を確保することができます。
7. 契約形態の確認は必須
賃貸契約には「普通借家契約」と「定期借家契約」があります。普通借家契約は契約更新が可能ですが、定期借家契約は契約満了時に退去を求められるケースがあります。
契約時に不動産会社から説明を受ける際には、理解できなかったポイントはしっかりと質問すりように心がけましょう。
特にシニアの住まい探しは「長く住める安心感」が大きなポイントになるため、契約形態をしっかり確認することを怠らないようにしてください。
まとめ
高齢者が賃貸住宅を探す際には、単に家賃や間取りだけでなく、将来の生活の変化まで見据えて考えることが重要です。
売却のタイミングを誤ると住む場所がなくなるリスクがあり、身元引受人や契約形態の確認は避けて通れません。
また身体の変化に配慮した住宅選びや、見守りサービスの導入、将来的な住み替えの可能性を視野に入れることも大切です。
一つひとつの準備を早めに進めることで、「安心して長く暮らせる住まい」を見つけやすくなります。
人生の後半をより豊かにするためにも、本記事で紹介したチェックポイントを参考に、新しい住まい探しを計画的に進めてください。