高齢の親が遠方で一人暮らしをしていると、「もしもの時どうしたら…」「今のうちに一緒に暮らす準備は?」と不安に感じることはありませんか。
突然の病気や転倒、認知症の進行などに直面する前に、どんな準備や手続きが必要か、正しい情報を知っておくことは大切です。
本記事では、親を呼び寄せるための住民票異動や介護保険の手続きなど、詳しく解説します。自立している親に対する将来の備えにも、ぜひご活用ください。
1. なぜ親を呼び寄せるのか?遠距離介護の課題

高齢化が進むなか、65歳以上の高齢者による単独世帯は2024年時点で903万1,000世帯(全世帯の約16%)に達し、過去最高を更新しています。
公益社団法人全国国民健康保険診療施設協議会によると、65歳以上の親と離れて暮らす子世代には、様子を見に行きたくても諸事情あり思う行ように行けないことや、遠いので様子を見に行くたびに心身ともに疲労するといった課題があります。
参照元:厚生労働省 「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
参照元:公益社団法人全国国民健康保険診療施設協議会 「介護離職防止 活動報告書 確定版」
2. 「同居」と「近居」どちらが正解?家族みんなが納得する選び方
親を呼び寄せる方法には「同居」と「近居」の2つがあります。どちらにもメリット・デメリットがあり、生活スタイルや家族関係、経済面をふまえて検討しましょう。
同居のポイント
同居は生活費が節約できる反面、家族間のストレスやプライバシーの確保が課題です。親子・孫・配偶者それぞれの生活リズムや価値観に配慮し、役割分担や家事についても話し合いましょう。
近居のポイント
「近居」は、徒歩圏内や公共交通機関で1時間以内に通える距離に住まいを持つことにより、生活の自由を維持しつつ、緊急時にはすぐ駆けつけられるのが利点です。
国土交通省「高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査」では、「同居したい」と考える親世帯が34.8%、「近居したい」が29.0%、「同居か近居のどちらかをしたい」が9.6%、「同居も近居もしたくない」が18.9%となっており、近居を希望するケースも目立っています。
参照元:国土交通省 「高齢者住宅施策の現状と今後の方向性」
3. 親を呼び寄せるための住民票手続きとは?
「同居」と「近居」のどちらにするかが決まり、実際に親を呼び寄せる場合、まず必要なのが住民票の異動手続きです。新しい居住地での生活に不可欠な手続きなので、スムーズに進めましょう。
住民票異動の基本的な流れ
親が現在の市区町村から子世帯の近くへ転居する場合、「転出届」を元の自治体へ提出し、「転入届」を引越し先の自治体に提出します。これによって、住民票が新住所に移され、各種行政サービスの利用や健康保険証の発行が可能になります。
手続きをする際は、本人確認書類(運転免許証・パスポート・マイナンバーカード等)とマイナンバーがわかる書類が必要です。代理人が窓口に行く場合は「委任状」も準備します。
施設入居時や近居先での住民票
老人ホームやサービス付き高齢者住宅への入居の場合も、原則として住民票を施設の所在地に異動します。ただし、特例対象施設(特別養護老人ホーム等)の場合は元の自治体に住民票が残るケースもあります。施設や自治体窓口で必ず確認しましょう。
4. 介護保険・医療保険の手続きとポイント
介護を視野に入れた引越しでは、介護保険や後期高齢者医療制度の手続きも重要です。これらはいずれも住民票の動きと連動しているため、漏れなく行ってください。
介護保険の住所変更手続き
65歳以上の方や、すでに要介護・要支援認定を受けている場合は、新住所の市区町村で「介護保険住所変更」と「介護保険受給資格証明書」提出が必要です。これにより、介護サービスが引き継がれます。転入から14日以内に手続きを行わないと、新規申請扱いになり、一定期間はサービス利用ができなくなる場合もあるため注意しましょう。
また、施設入居時は住所地特例が適用され、元の市区町村の介護保険が継続される場合もあるので、窓口で必ず確認してください。
後期高齢者医療制度の手続き
75歳以上の親が転居する場合、住民票登録後に医療保険制度の切り替えが行われます。転入手続き後4日前後で新しい保険証が発行されます。
5. 住民票・介護保険手続きの注意点とチェックリスト
準備や手続きにおいては、親・家族・各機関と十分なコミュニケーションを持つことが大切です。以下の点を押さえましょう。
住民票やマイナンバー、保険証、印鑑、委任状など必要書類を事前に整理。
引越し先で必要となる各種手続きをリストにして、窓口ごとに確認。
ケアマネージャーや地域包括支援センターへも早めに相談し、介護サービスの引継ぎや新規申請を確実に行う。
年金や医療保険、銀行口座など、各種手続きの住所変更も忘れずに。
自治体によっては手続きの流れが細かく異なることがあるため、事前にホームページや相談窓口で詳細を確認することを推奨します。
6.主な住所変更手続きリスト
転居時、さまざまな場所・サービスで住所変更手続きが必要です。以下に対応しておくべき主な項目をまとめます。
1. ライフライン・インフラ系
電気、ガス、水道の使用停止・開始手続き
インターネット回線、プロバイダ
固定電話、携帯電話の住所変更
郵便局(郵便物の転送届)
2. 金融・保険関連
各種銀行口座(ネットバンキング含む)
クレジットカード会社
生命保険・医療保険・火災保険・自動車保険など各種保険
3. 車両関連
運転免許証の住所変更(警察署・運転免許試験場)
車検証・車庫証明の住所変更(陸運局・軽自動車協会)
自動車税住所などの変更
4. その他公的書類・サービス
マイナンバーカード(または通知カード)
パスポート(必要に応じて)
印鑑登録(市区町村役所)
NHK等放送受信契約
介護保険の被保険者証の住所変更
6. ペット(犬)の登録
飼い犬の登録変更(新住所の自治体または保健所)
狂犬病予防注射済票の再交付
7. サブスクリプション・通販等のアカウント
オンラインショッピングの配送先住所(Amazon、楽天などのECサイト)
各種サブスクリプションサービス(定期宅配・有料コンテンツ等)
8. その他
各種会員サービス・ポイントカード等の登録住所
まとめ
親を呼び寄せる手続きは、住民票や介護・医療保険の届け出など複数のステップがありますが、事前準備と家族の話し合いで不安を解消しやすくなります。制度や行政サポートの正しい知識を身につけたうえで、親・家族みんなが納得できる形を選んでください。
もしもの備えと日常の安心、どちらも得られるよう、専門家や地域のサポートも賢く利用しながら、少しずつ前に進みましょう。
東京都内の都心部で、近居を検討されている場合は、シニア向け賃貸住宅「アンジュプレイス」も選択肢の一つとして検討できます。まずは情報収集と見学から始め、将来の変化に柔軟に対応できる住まい選びを進めていきましょう。