高齢者の徒歩ペースは、加齢や健康状態により大きく異なってきます。
そのため物件情報サイトに記載されるような物件までの「徒歩分数」と、高齢者が歩いた場合の分数はズレることがあります。
本記事では公的な調査データをもとに、シニアの徒歩速度と不動産の「徒歩分数」表記の違い、そして物件選びの際に知るべきポイントを解説します。
高齢者の平均的な徒歩速度と歩行距離
高齢者の平均歩行速度は年齢と共に低下してしまいます。
国立長寿医療研究センターの資料によると、80~84歳の高齢者の歩行速度は男性で1.23m/秒、女性で1.21m/秒と報告されています。
1分間の歩行距離に換算すると、それぞれ男性で73.8m、女性で72.6mとおよそ73m程度となります。
歩行距離の面では、「休憩せず無理なく歩ける距離」は100m未満と答える高齢者が1割、1km未満が約4割に達しているのが実態です。
つまり80~84歳の高齢者が徒歩15分歩く場合には、約4割の方が途中で休憩を必要とすると考えられます。
これは、天候や坂道、体調不良など外的要因によってさらに大きく左右されます。
参照元:国立長寿医療研究センター長期縦断研究(NILS-LSA)による通常歩行速度の10年間の変化(コホート差)
参照元:高齢者および高齢社会に関する検討ワーキンググループ報告書2024 |日本老年学会
不動産広告が示す「徒歩分数」の基準
不動産広告でよく見かける「徒歩○分」という表記には明確な業界基準があり、「徒歩1分=80m」として計算されます。
例えば「徒歩10分」は直線距離で800m、徒歩5分なら400mという換算です。
この試算には、坂道や信号待ち、階段、バリアフリー環境の有無など、実際に時間が伸びる要素は考慮されていません。
なぜズレが生じる?高齢者の物件選びの現実
多くの物件で「駅から徒歩10分」と表示されていても、高齢者が実際に歩くと所要時間は1.5倍になることも考えられます。
80~84歳の高齢者の歩行速度と比較したときに、1分間では約7mの差が生じることになります。
特に以下のケースでは表記と実際の分数のズレが実感されます。
通院や買い物で荷物を持つ場合
坂道や段差、横断歩道がある場合
信号待ちが発生する経路
急な体調悪化など歩行困難時
高齢者のニーズとしては「徒歩で10分以内」を許容範囲にする方が多いと考えられますが、「10分表記」の物件であっても実際は15分程度かかってしまう可能性もあります。
不動産広告の「徒歩分数」で注意すべきポイント
ここまで説明してきたように、不動産の「徒歩○分」表示は単なる目安であり、シニア層がそのまま鵜呑みにするのはリスクがあります。
不動産公正取引協議会のルール上、信号待ちの未反映なども決められているため、以下の点に注意が必要です。
実際に歩いてみて所要時間を確認する
地図アプリや交通インフラの事前調査を活用
最寄り駅出口やエレベーター利用等による影響を確認する
まとめ
高齢者の平均歩行速度は非高齢者よりも遅いため、不動産広告の「徒歩1分=80m」換算のまま物件選びをすると実際の所要時間にズレが生じる可能性があります。
安心・快適な生活を送るためには、広告表示だけでなく自身で現地を確認し、必要であれば家族や専門家にも相談しましょう。
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