日本では多くの企業が福利厚生として社員に対して社宅を提供しています。
しかし、定年退職を迎えるとその社宅を退去しなければならないケースが一般的です。
本記事では、定年退職後に社宅を退去する必要がある方に向けて、「賃貸」と「購入」それぞれのメリットとデメリットを比較し、今後どのように住まいを選択していけばよいのかを詳しく解説します。
定年退職と社宅退去の現実
定年退職を迎える60代の会社員にとって、社宅退去は避けて通れない大きな課題です 。
総務省「令和5年住宅・土地統計調査」(2023年実施)の結果によると、「給与住宅」すなわち社宅や官舎などに該当する住宅は、全国に130万2千戸あり、全住宅の2.3%を占めています。
「給与社宅」は1993年には5.0%を占めていたため、この30年で半減してきていますが、それでも今なお100万戸以上の世帯が給与住宅で生活をしています。
長年社宅で生活してきた方々とって、退職後の住まい確保は切実な問題となります 。
慣れ親しんだ自宅から離れることになる心理的なプレッシャー、年金収入の範囲内で新しく住まいを確保できるだろうかという経済的な不安、医療・交通など生活利便性を考慮した新居選びの難しさなど、多角的な課題が一気に押し寄せてきます。
参照元:令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果
社宅退去後に直面する課題
定年後の社宅退去にあたっては、まず現実的な課題を整理する必要があります。
第一に住居費の変化です。社宅は一般的に家賃補助が大きいため、民間賃貸や持ち家に比べてかなり安価に住めていました。
しかし退職後は、同じ条件で住居費を支払うのが難しくなりやすいです。
また、民間賃貸に入居しようとすると、高齢者に対する貸し渋りや保証人の問題などが発生する可能性もあります。
さらに、健康面や生活インフラの問題も考慮しなければなりません。60代前半はまだ元気でも、70代以降になると病院や買い物など日常生活の利便性が一層重要になります。
そのため立地選びの重要度は高くなります。加えて、退職後の世帯収入は主に年金に依存することになるため、長期にわたり安定的に暮らすための資金計画が不可欠です。
賃貸住宅に住み替える場合のメリット・デメリット
賃貸という選択肢は柔軟性の高さが魅力です。自治体の高齢者支援制度やUR賃貸住宅のように高齢者でも借りやすい物件を利用することができます。
賃貸のメリットは、ライフステージや健康状態に合わせて住み替えがしやすい点です。
例えば将来介護が必要になった場合、比較的容易に住み替えることで生活に適した環境を整えることができます。
また、持ち家と異なり、大規模な修繕費や固定資産税の負担がありません。そのため老後資金を住まいに縛られることなく柔軟に使えるという利点があります。
一方でデメリットも明確です。老後の長期的な視点で考えると、家賃の支払いが生涯続くため、年金のみで賄い続けるには負担となる可能性があります。
また、年齢が上がるにつれて民間賃貸は入居審査が厳しくなるケースが多いのです。
60代のうちは希望する条件の賃貸物件に住むことができても、建て壊しなどによる立ち退きに合ってしまう可能性もあります。体力が落ちてきた頃に新たな家探しをするのは大変な苦労になることでしょう。
しかし近年では「アンジュプレイス」のような都心型のシニア向け賃貸物件が登場してきています。興味のある方はぜひ早めにチェックしておきましょう。
持ち家を購入する場合のメリット・デメリット
定年後に住宅を購入する選択肢もあります。こちらの最大のメリットは「安心感」です。
自分の持ち家であれば、家賃や更新料を払い続ける必要がなく、入居拒否のリスクもありません。
さらにリフォームによってバリアフリー化を進めたり、立地を選んで医療・公共交通へのアクセスを重視した環境を整えることも可能です。
購入のデメリットは、まとまった資金が必要である点です。ローンを組む場合、定年後では審査が厳しくなりがちなため、実質的には現金一括での購入が中心になります。
また、購入後も固定資産税や修繕費といった維持費が定期的にかかり続けます。長寿化が進む現代では「老後の資金を住宅に集中させすぎること」もリスクになり得ます。
さらに将来的に介護が必要になった場合、広すぎる住まいや郊外の不便な立地だと負担が増す可能性も否めません。
定年後の住まい選びで考えるべき視点
定年退職後に社宅を出て、新しい住まいを選ぶ際に重要なのは、経済的・身体的・心理的なバランスです。
年金額や貯蓄を冷静に見直して「家賃に毎月いくらまで出せるのか」「購入資金を準備できるのか」を確認することが第一歩です。
そのうえで、これからのライフスタイルをどう設計するのかをイメージしましょう。
夫婦二人で老後を過ごすのか、一人暮らしになる可能性を見越すのか、あるいは子ども世帯との近居を考えるのか。
介護や医療の必要性が高まる年代を見すえて、生活圏の利便性を確保することも欠かせません。さらに、公的な支援制度や地域の高齢者向け住宅制度も情報収集しておくと、安心につながります。
賃貸と購入どちらにも一長一短がありますが、どちらを選ぶにしても「今だけ」ではなく「10年後、20年後」を見すえた選択をすることが、定年後の安心した生活につながるのです。
なお、シミュレーションを活用すると、より現実的な資金計画が立てられます。
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複雑な計算は不要ですので、ぜひ計画の第一歩としてお役立てください。
まとめ
定年退職後に社宅を退去するのは、多くの方にとって初めて直面する大きな住まいの課題です。賃貸は柔軟性が高く住み替えやすい一方で、家賃が生涯続き入居審査が厳しくなる可能性があります。
購入は安心感があり安定した暮らしを得やすい一方、資金や維持費が大きな負担となる場合があります。
大切なのは、収入とライフスタイルを見据え、将来の変化に対応できる選択をすることです。
早めに情報収集を行い、家族ともよく話し合いながら最適な住まい方を考えることが、これからの安心をつくる第一歩といえるでしょう。