「安心して自立した暮らしを続けたい」と願う高齢者の方々にとって、公営住宅は大きな味方のひとつです。
近年では、60歳以上を対象に、バリアフリー設計や緊急通報システムなど日々の安全・快適さに配慮された公営住宅も存在しています。
本記事では、そんな公営住宅への入居資格や申込方法、住宅の特徴など、公営住宅の基礎知識から具体的な手続きまで、分かりやすく徹底解説します。
公営住宅とは何か?公営住宅法の目的と制度概要
公営住宅の定義と役割
公営住宅とは、都道府県や市区町村などの地方公共団体が建設・管理し、主に低所得者向けに低廉な家賃で提供される賃貸住宅です。
その根拠となるのが「公営住宅法」であり、日本国憲法第25条の生存権(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)を具体的に実現するために、1951年に制定されました。
公営住宅法の目的は、「住宅に困窮する低額所得者に対して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、低廉な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与する」ことです。
参照元:公営住宅法
公営住宅と都営住宅・UR・公社住宅の違い

公営住宅と都営住宅の関係
「都営住宅」は、東京都が管理する公営住宅のことです。つまり、都営住宅は公営住宅の一種であり、都内在住者向けに運営されています。
同様に、市が管理するものは「市営住宅」、県が管理するものは「県営住宅」と呼ばれます。
公営住宅とUR・公社住宅の関係
公営住宅(都営・市営・県営)は、ここまでご説明してきた通り、低所得者や住宅困窮者を主な対象とし、収入上限や住宅困窮の有無など厳格な条件があります。
一方で、UR賃貸住宅や公社住宅は、収入基準の下限のみが設けられている場合が多く、比較的広い層が利用できます。墨田区のホームページでは、いずれも「中堅所得者向けの住宅」と書かれていることから、公営住宅とは入居者の想定が異なっていることがわかります。
高齢者向け公営住宅について
高齢者でも公営住宅に入居することは可能なのでしょうか?ここからは公営住宅の入居資格について解説していきます。
高齢者の入居資格
高齢者でも公営住宅に入居することは可能です。多くの自治体では、60歳または65歳以上の単身者や夫婦世帯に対して入居資格を設けています。
また、年金生活者でも、収入基準を満たせば申込みが可能です。
【主な入居資格の例】
・年齢:60歳または65歳以上(自治体により異なる)
・所得:自治体が定める収入基準以下
・住宅困窮:持ち家がない、住宅に困っていること
・住民登録:一定期間その自治体に住んでいること(例:都営住宅は都内に3年以上居住)
・暴力団員でないこと
なお東京都ではシルバーピア住宅という名称で、室内に手すりや緊急通報装置等、高齢者に配慮した設備を設置し、生活相談・団らん室などの利便施設も併設した、すべてエレベーター付きの住宅が存在しています。
その他自治体によっては、単身高齢者や高齢者夫婦世帯を優先的に受け入れる「高齢者枠」を設けている場合もあります。
入居条件の詳細はお住まいの自治体のホームページにて最新情報をご確認ください。
公営住宅の申込方法と入居までの流れ
公営住宅への申込は、各自治体の住宅担当窓口やホームページで行います。申込から入居までの一般的な流れは以下の通りです。
1.募集情報の確認
自治体の広報誌やホームページで募集時期・物件・募集戸数などを確認します。多くの自治体では年に数回、定期的に募集が行われます。
2.申込書類の提出
必要書類(申込書、所得証明、住民票、身分証明書など)を揃えて、指定された期間内に提出します。
3.抽選・選考
応募者多数の場合は抽選が行われます。高齢者や障害者、子育て世帯などは優先枠が設けられることもあります。
4.入居資格審査
提出書類をもとに、所得や住宅困窮の状況などが審査されます。
5.入居説明会・契約
審査を通過した場合、入居説明会に参加し、契約手続きを行います。
6.入居
契約後、指定された日から入居が可能となります。
「都営住宅」の具体的な申込み方法やスケジュールについてはこちらの記事でも詳細に解説しています。興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
なお、申込から入居までには数ヶ月かかることが多く、人気の高い物件や地域では抽選倍率が高くなる傾向があります。
まとめ
公営住宅は「住宅に困窮する低所得者に健康で文化的な生活を営む住宅を提供する」という公営住宅法の理念のもと、収入や住環境に不安を抱える高齢者にとって大きな支えとなっています。
申込には所得や年齢などの条件があり、募集時期も限られているため、入居を検討している方は事前に情報収集と準備を進めておくことをおすすめします。
また近年ではリコーリースのシニア向け賃貸「アンジュプレイス」のように、高齢者でも都心部で入居できる賃貸物件が出てきています。ぜひ住まいの選択肢の一つに加えてみてください。
(※本記事は2025年7月時点の公的統計・制度情報に基づき執筆しています。最新情報は各自治体の公式サイト等で必ずご確認ください。)