高齢の親が転倒や骨折で入院・治療をしたあと、「今後どう生活を支えればいいのか」「どのような公的サポートや制度が利用できるのか」など、不安や疑問を抱えるご家族は少なくありません。ここでは自治体や国の補助金・支援制度、再発防止や生活改善のための最新グッズなど、実際に役立つ具体的な情報を分かりやすく解説します。高齢者の転倒・骨折後に活用できる主な公的サポート高齢者が転倒や骨折を経験した後は、再発防止や生活の質向上のために、さまざまな公的支援制度を活用できます。ここでは、特に利用価値の高い制度を解説します。介護保険による住宅改修費補助要支援または要介護認定を受けると、介護保険を利用して自宅のバリアフリー改修(手すり設置、段差解消、滑り止め床材、引き戸化等)が可能です。1人あたり生涯で20万円まで、自己負担は所得に応じて1〜3割となります。なお、限度額内であれば複数回の申請も可能で、転居や要介護区分が3段階上がった場合などには再度利用枠が設けられます。参照元:介護保険制度における住宅改修の概要自治体独自のリフォーム・バリアフリー補助金多くの自治体では、介護保険の補助に加えて独自の住宅改修助成制度を設けています。たとえば東京都の中央区では、高齢者住宅設備改善アドバイザーからの助言があった場合に、「浴槽の取り替え」や「便器の洋式化」の費用も10%~30%程度の自己負担で済む場合があります。申請条件や補助内容は自治体ごとに異なるため、必ずお住まいの市区町村窓口で最新情報を確認しましょう。参照元:住宅改善事業(バリアフリー化等)区市町村別事業概要一覧|自立生活の支援|東京都福祉局参照元:中央区ホームページ/住宅設備改善給付高齢者見守り・安否確認サービスひとり暮らしや離れて暮らす親を支援するため、各自治体では訪問型(定期見守り・安否確認)やデジタル型(センサー・見守りタグ)、配食サービス連携型など多彩な見守りサービスを用意しています。横浜市などでは、見守り機器の導入費用を月額最大1,000円まで補助する制度が始まっています。他自治体でも介護テクノロジー(見守り・自動通報システム等)導入費を補助する施策が全国的に拡充されています。お住まいの自治体のホームページをぜひご確認ください。参照元:高齢者見守り・安否確認機器補助事業 横浜市転倒予防教室・介護予防教室多くの自治体や地域包括支援センターでは、無料または低料金で「転倒予防教室」や「介護予防教室」を開催しています。理学療法士や運動指導士による体操指導、バランス訓練、脳トレなどが受けられ、健康寿命の延伸や再発防止に役立ちます。例えば、中央区では転倒予防や認知機能の向上に効果のあるオリジナルの体操教室を開催しています。教室の開催情報は市区町村の広報や公式サイトで随時案内されているので、お住まいの自治体のホームページをご確認ください。参照元:中央区ホームページ/介護予防プログラム「中央粋なまちトレーニング(略称「粋トレ」)」で楽しく健康づくり生活を守る!転倒・骨折予防の最新グッズ再発防止や安全な生活のために、転倒予防グッズの導入もおすすめです。ここでは、2025年注目の製品を紹介します。介護用手すり手すりは、歩行や立ち上がりを補助し転倒のリスクを下げるうえで、最も基本かつ有効な設備です。設置場所や用途によって、壁付けタイプ、I型やL型のトイレ・浴室用、ベッドや椅子横の据え置き型、玄関や屋外アプローチ用など、さまざまなバリエーションがあります。歩行補助手すり(廊下や階段の連続手すり)は移動中の安定を確保し、動作補助手すり(トイレや浴室での立ち座り補助)は日常の”動き出し”を安全にします。近年では価格が手頃なアイテムも数多くでてきていて、ECサイトでも手軽に購入することができます。介護保険や自治体の補助金を活用すれば、頑丈なタイプの手すりであっても自己負担を抑えて設置できる可能性があります。段差解消グッズ住宅内の小さな段差は、加齢や筋力低下により大きな転倒リスクとなります。段差解消グッズには、取り外し可能で設置も簡単な「携帯スロープ」や「段差解消ステップ」「昇降台」などがあり、車椅子利用者の移動にも有効です。玄関や廊下、浴室出入口といった場所ごとにさまざまな製品があり、バリアフリーリフォームの一環として改修工事も選択肢となります。介護保険ではスロープや床面の改修、段差の解消も住宅改修費補助の対象です。助成金額や自己負担割合は要介護度・自治体ごとに異なりますが、手すり設置と同じく、申請前に工事予定内容の確認が求められています。支給限度額は最大20万円程度となり、年度ごとや工事内容によっては追加助成もあるため、必ず自治体窓口で最新の条件を確認しましょう。衝撃吸収マット・床材転倒時の衝撃を和らげるマットや、ズレにくいクッションマットは、居室や廊下、ベッドサイドなどに敷くだけで骨折リスクを大幅に軽減します。薄型設計でつまずきにくく、車いすでも使える製品も登場しています。転倒防護用エアバッグベルト最新のテクノロジーを活用した「転倒防護用エアバッグベルト」は、転倒を感知すると瞬時にエアバッグが膨らみ、股関節や大腿骨周辺を守ります。高齢者の転倒骨折予防に特化した画期的な商品として注目されています。滑りにくい介護シューズ転倒リスクを下げるために履物にもこだわりましょう。滑り止め付きの室内用介護シューズやリハビリシューズは、かかとがしっかり固定できるもの、つま先が反り上がり設計でつまずきにくく軽量タイプなど、歩行の安定を重視した製品が増えています。消費者庁の調査によれば、高齢者の転倒事故の約半数が自宅・屋内で起きており、特にスリッパやゆるいサンダル等では転倒リスクが高まります。介護シューズは足にフィットしやすい面ファスナー調節や柔らかい素材、高いグリップ力を持つソールなどが特徴で、日常使いすることで歩行の安全性が高まります。サイズ選びや左右の違い(むくみや装具対応)にも対応した商品が流通しているため、ご本人に合ったものを選ぶことが大切です。参照元:参考資料「毎日が#転倒予防の日~できることから転倒予防の取り組みを行いましょう~」消費者庁まとめ高齢の親が転倒や骨折を経験した後、家族ができる最大のサポートは「制度やサービスを賢く活用し、再発防止と安心な生活環境を整えること」です。介護保険や自治体の補助金、見守りサービス、転倒予防グッズなど、今すぐ使える具体的な支援策は数多くあります。また根本的な解決策として「バリアフリー設計のマンションへの住み替え」は、転倒リスクを大幅に減らし、親御さんの自立した安全な暮らしを支えてくれます。東京都内の都心部で、転倒対策が施された物件に興味のある方はぜひリコーリースのシニア向け賃貸住宅アンジュプレイスも選択肢に加えてみてください。