「まだ元気だけど、将来の安心のために住まいを見直したい」「親が自立しているうちに安全な環境に移ってほしい」と考えられた経験はありませんか?近年では介護認定を受けていない健康的な高齢者が、あえて自立のまま老人ホームや高齢者施設への入居を検討するケースもあります。しかし、実際に自立状態で入居するメリットやデメリット、入居者の実態や後悔しない選び方については、情報が分かりづらいのが現状です。本記事では最新の公的データや調査結果をもとに、「自立のまま老人ホームに入るのはアリなのか?」を徹底解説していきます。自立のまま施設に入る人はどのくらい?入居者の現状と介護度自立状態で老人ホームや高齢者向け施設に入る人は、はたしてどのくらいいるのでしょうか。まずは、最新の統計データから現状を確認します。自立のまま入居できる施設の種類と入居者数自立した高齢者が入居できる主な施設は、「健康型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」「自立型ケアハウス」などです。老人ホーム検索サイトの「みんなの介護」によると、全国で自立者が入居可能な老人ホーム・介護施設は記事執筆時点(2025/7/9)で約7,000件あり、そのうち空室は3,100件以上。東京都内だけでも約890件が自立者の入居を受け入れており、都市部を中心に選択肢は広がっています。参照元:全国の自立の方でも入居可能な老人ホーム・介護施設一覧 |みんなの介護参照元:東京都の自立の方でも入居可能な老人ホーム・介護施設一覧 |みんなの介護入居時の年齢層入居者の年齢層は「85歳以上」が60.5%、「75~84歳」が28.2%と、9割近くが75歳以上です。参照元:サービス付き高齢者向け住宅に関する現状と施策の動向(国土交通省)施設入居者の介護度分布サービス付き高齢者向け住宅の入居者の介護度分布を見ると、「認定なし(自立)」は全体の8.6%、要支援1・2が合計12.8%、要介護1・2が41.7%、要介護3以上が36.6%です。介護認定を受けられている方の入居が9割以上を占めていますが、入居者のデータであるため入居時の介護度ではありません。みんなはどのタイミングで入っている?株式会社LIFULL seniorが実施した調査によると、施設入居時の年齢としては80代が46.5%と最も多く、80歳以上での入居は全体の約7割とのことでした。入居時の介護度については、自立での入居は5.2%と全体の1割にも満たない結果でした。そのため、「家族に迷惑をかけたくない」「広い家での家事が負担」といった方には、施設だけではなくシニア向け賃貸という選択肢も考えられるでしょう。参照元:「介護施設入居に関する実態調査」入居時の介護度は要支援1~要介護2までが半数以上、約8割が認知症あり|株式会社LIFULL senior(ライフルシニア)自立で老人ホームや施設に入るメリットここからは、自立状態で老人ホームや施設に入ることで得られる安心や利便性について、具体的に見ていきます。将来への安心感スタッフが24時間常駐しており、急な病気や転倒時にもすぐに対応してもらえる安心感があります。一人暮らしに不安を感じる方や、家族に心配をかけたくない方にとって大きなメリットです。家事負担の軽減食事の準備や掃除、洗濯などの家事を施設スタッフがサポートしてくれるため、体力的な負担を減らし、趣味や交流の時間を増やすことができます。孤独感の解消と交流同世代との交流やレクリエーションが充実しており、孤独感や寂しさを感じにくくなります。配偶者を亡くした方や家族と離れて暮らす方にも適した環境です。生活支援サービスの充実生活相談や健康管理、見守りサービスも充実しているケースが多いため、必要に応じて外部の介護サービスも利用できます。将来的に介護が必要になった場合、同じ施設内や提携先の介護型施設へ移行できる場合もあります。自立で老人ホームや施設に入るデメリット一方で、自立状態で老人ホームや施設に入る場合には注意すべき点もあります。賃貸よりも費用負担が大きい可能性「みんなの介護」によると、自立型施設の入居一時金は数百万円から数千万円、月額利用料も20~30万円台が中心です。東京都の場合、平均入居一時金は約687万円、月額利用料は約31万円と高額です。(記事執筆時点のデータとなります)参照元:東京都の自立の方でも入居可能な老人ホーム・介護施設一覧 |みんなの介護介護度の違いによる孤独感介護度が高い入居者が多い施設に自立の方が入ると、会話や交流が難しくなり、孤独や疎外感を感じてしまうこともあるでしょう。自由度の制限施設によっては外出や食事の自由度が制限される場合があり、元気なうちは「窮屈」と感じることもあります。介護が必要になった場合の住み替えリスク健康型有料老人ホームや自立型ケアハウスの場合、介護や医療ケアが必要になると住み替えが必要となる可能性もあるでしょう。入居する段階で、将来的なサポート体制を確認しておくことが重要です。後悔しない住まいの選び方と今後の道しるべ自立のまま老人ホームや高齢者施設に入るかどうか迷っている場合、「後悔のない選択」を実現するためには、いくつかのポイントを押さえて比較・検討することが重要です。住まい選びは今後の生活の安心、そして豊かさを左右する大きな節目です。ここからは、実際に施設を選ぶ際に重視すべき観点について詳しく解説します。入居者の介護度や年齢層のバランス施設選びでまずポイントとなるのが、入居者の介護度や年齢層、そして日々の雰囲気です。同じ「老人ホーム」と一口に言っても、施設ごとに入居者の状態や年齢にバラつきがあります。入居者の平均年齢が高く、要介護度が高い環境では、元気なうちは会話や交流が生まれにくく孤独感を感じやすい傾向も報告されています。・入居者の介護度がどの程度か・年齢層はどのくらいか・日常的な雰囲気や交流頻度・アクティビティやレクリエーションの内容これらを事前に把握することで、「自分のペースで心地よく過ごせる場所か」「将来、気持ちの変化や身体の状態に対応できる環境か」を見極めることができます。費用の透明性と資金計画施設入居にかかる費用は「入居一時金」「月額利用料」「追加サービス料」など多岐にわたります。特に長期間にわたる場合、資金計画が不十分だと退去を余儀なくされるリスクもあるため、費用面は慎重に確認しましょう。・初期費用(入居一時金や敷金)・月々の利用料(家賃、管理費、食事代など)・追加サービスの料金(介護、医療、アクティビティ等)・将来の収入や貯蓄の状況・退去時における返金規定や追加負担の有無自分や家族のライフプランに無理のない範囲で、「どのくらいの期間、どの程度の支出を維持できるか」まで具体的に見通して検討することがポイントです。資産の内訳や現金化しやすい財産も早い段階で確認しておくと安心です。見学や体験入居の活用どれほど資料を読み込んでも、実際の雰囲気や日常生活までは分からないものです。そのため、気になる施設が見つかったら必ず「見学」や「体験入居」を活用しましょう。・建物や居室の広さ・清潔さ・バリアフリー性・スタッフの接し方や入居者への対応・実際の食事の内容や提供スタイル・アクティビティや日課の実施状況・入居者同士・スタッフとの交流の様子体験入居で数日間生活してみることで、日々のリズムや温度感、施設独自のルールや制約などリアルな生活イメージが具体的になります。入居候補をいくつかピックアップし、必ず比較・体感したうえで検討することが、後悔しない選択につながります。「自分にピッタリ合う施設かどうか」を見極めるには、数多くの情報や印象だけでなく、実際の現場を知ることと、綿密な資金計画が欠かせません。じっくり比較検討し、納得できる住まい選びを進めていきましょう。まとめ自立状態で老人ホームに入ることにはメリットがある一方、費用や自由度、介護度の違いによる孤独感といったデメリットも存在します。完全自立のまま入居する人は全体の1割未満で、要支援や要介護度の低い方と合わせても2割強となっています。納得できる選択をするためには、施設の種類や入居者の傾向、将来のサポート体制、費用面をしっかり確認し、自分や家族の状況に応じて選択することが推奨されます。また生活の自由度や安心感を重視する場合は、シニア向け賃貸住宅「アンジュプレイス」も選択肢の一つとして検討できます。まずは情報収集と見学から始め、将来の変化に柔軟に対応できる住まい選びを進めていきましょう。