実親を都内に呼び寄せて同居を始めたものの、思った以上にストレスを感じていませんか。同じような悩みを抱える人は少なくありません。令和4年の国民生活基礎調査によると、約46%の人が「悩みやストレスがある」と訴えており、その中でも約16%の方は悩みやストレスの原因が「家族や人間関係」にあると答えています。さらに東京都内の45-64歳女性に絞ると、「悩みやストレスがある」と回答した人は約54%で、そのうち原因が「家族や人間関係」と回答した人は21%と全国平均よりも高い結果が出ています。このように、家族や人間関係でストレスを抱える人が多い中、本記事では「なぜ実親との同居がうまくいかないのか」「同居の難しさ」や「新たな選択肢」について解説していきます。参照元:令和4年国民生活基礎調査 / 健康 閲覧公表 都道府県編なぜ実親との同居はうまくいかないのか1.生活リズムや価値観の違いがストレスの根源親との同居がうまくいかない理由の多くは、長年別々に暮らしてきたことによる生活リズムや価値観の違いにあると考えられます。例えば、50代の子世帯は仕事や趣味で夜型の生活を送りがちですが、親世帯は早寝早起きが習慣というケースが多く、食事や家事のタイミングが合わずにお互いにストレスを感じやすくなります。また、親が子どもの生活に過度に干渉したり、逆に無関心だったりすることで、コミュニケーションのズレや誤解が生じ、家庭内の雰囲気が悪化することも珍しくありません。2.プライバシーの欠如と家族関係の悪化同居によってプライベートな空間や時間が失われることも、大きなストレス要因です。特に家が狭い場合や、親が過干渉なタイプの場合は、精神的な負担が大きくなります。また、親子や夫婦の関係に摩擦が生じやすくなり、些細なことでケンカが増えてしまうことも考えられます。3.役割分担や責任の不明確さ家事や介護の役割分担が曖昧なまま同居を始めると、「誰が何をするのか」が不明確になり、不公平感や負担感が一人に集中しやすくなります。特に50代の子世帯は仕事や自分の家庭もあり、親の世話や要望への対応が負荷になるケースが多く考えられます。近居という選択肢国土交通省では、近居とは親世帯と子世帯が「住居は異なるものの、日常的な往来ができる範囲に住むこと」と定義されており、徒歩や自転車、車、電車などを利用して1時間以内に行き来できる距離が目安とされています。同居や遠居と異なり、お互いのプライバシーを守りつつ、必要な時にはすぐに助け合えるという特徴があります。こちらの記事でも解説していますが、近年では「同居」よりも「近居」を希望する高齢者の割合も増加しています。近居のメリットとデメリット近居には、同居と比較した際の特徴的なメリットとデメリットがあります。近居のメリット近居の最大のメリットは「お互いに助け合える距離感」です。親世帯が体調を崩した時や、子世帯が急な用事で子どもの世話が必要な時など、すぐに駆けつけることができる安心感があります。また、同居と比べてプライバシーが守られやすく、それぞれの生活リズムや価値観を尊重しやすい点も大きな利点です。さらに、ペットの飼育や生活スタイルの違いなど、世帯ごとに自由な選択ができるため、ストレスの少ない暮らしが実現しやすいです。子世帯にとっては、共働きや子育てのサポートが受けやすいという実利もあります。 近居のデメリット(同居との比較)近居は親子双方のプライバシーや生活リズムを尊重しやすい一方で、同居と比較するといくつかのデメリットも考えられます。まず、日常的な見守りや緊急時の対応においては、同居ほどの即応性が得られません。たとえば、親が急に体調を崩した場合、同じ家にいればすぐに気付いて対応できますが、近居では発見や対応が遅れるリスクがあります。場合によっては、「必要な時にすぐに助けられなかった」という後悔を感じることがあるでしょう。さらに、近居の場合はそれぞれの世帯で住居費や光熱費が発生するため、経済的な負担が同居よりも大きくなることもあります。このように、近居は同居に比べて自由度や独立性が高い反面、緊急対応や経済面の課題も抱えている点を十分に考慮する必要があります。近居にむけた具体的なステップ・アクション同居から近居へ移行する際には、段階的かつ計画的な行動が必要になるでしょう。伝え方を間違えると「追い出された」という印象を与えてしまう可能性があるため、ぜひ以下のステップを参考にしてみてください。ステップ1:家族全員で現状と課題を話し合うまずは、同居の中で感じているストレスや今後の生活に対する希望を率直に話し合いましょう。親世帯・子世帯双方の意見を尊重し、現状の課題を明確にします。ステップ2:近居の距離や住まいの条件を具体化する「どの程度の距離が理想か」「どのエリアなら双方が安心して暮らせるか」など、具体的な条件を整理します。徒歩圏内や公共交通で1時間以内など、生活利便性や安全性も考慮しましょう。ステップ3:物件探し・住み替えの準備賃貸住宅や分譲マンション、シニア向け住宅など、親世帯・子世帯それぞれに合った物件を探します。高齢者の賃貸契約は条件が厳しい場合もあるため、専門家や不動産会社に相談するのも有効です。ステップ4:近居支援制度の活用東京都内には、近居や同居にかかる初期費用を助成する自治体の制度があります。たとえば新宿区では、引越し代や礼金、仲介手数料などの合計額を最大20万円まで助成する「多世代近居同居助成」があります。また、ほかの区市町村でも独自の支援制度を設けている場合があるため、各自治体のホームページや窓口で最新情報を確認しましょう。参照元:多世代近居同居助成:新宿区ステップ5:新生活のルール作りと地域との連携近居を始めた後は、訪問頻度やサポート範囲などのルールを事前に決めておくことがトラブル防止に役立ちます。また、必要に応じて地域包括支援センターや自治体によるサービスなど、地域資源も積極的に活用しましょう。まとめ近居は、同居のストレスや課題を解消しつつ、親子双方の安心と自立を両立できる現実的な選択肢です。自治体によっては経済的な負担を軽減する支援制度も整備されており、計画的に準備することで新しい家族のかたちを築くことができます。まずは家族で率直に現状を見つめ直し、無理のない距離感と安心できる暮らしを目指して一歩踏み出してみてください。東京都内の都心部で、親の近居を検討されている方はぜひリコーリースのシニア向け賃貸住宅アンジュプレイスも選択肢に加えてみてください。