ホームkeyboard_arrow_rightコラムkeyboard_arrow_right親の住まい
keyboard_arrow_right

高齢の親との同居、生活費はいくら増える?データと試算で考える「お金と関係性」の最適解

高齢の親との同居、生活費はいくら増える?データと試算で考える「お金と関係性」の最適解

公開日

2025/7/9

更新日

2025/7/9

「70代の母親、ひとり暮らしで大丈夫かしら…」
「でも、同居となると生活費はどうなるの?夫や家族に負担をかけたくない…」

親を呼び寄せて同居する場合、「生活費はどれくらい増えるのか」「誰がどのくらい負担すべきか」といった悩みは尽きません。

本記事では、信頼できる公的データをもとに、親との同居で実際にどれくらい生活費が増えるのかを具体的に試算し、家族関係を円満に保つための費用分担やコミュニケーションのヒントをお伝えします。

不安を「具体的な計画」に変え、納得できる一歩を踏み出すための指針としてご活用ください。

【データで見る】親との同居で、生活費は「いくら」増えるのか?

1. 70代・単身世帯の平均的な生活費

総務省「家計調査年報(家計収支編)2024年」によると、65歳以上の単身無職世帯の月平均可処分所得は121,469円、月平均消費支出は149,286円で、毎月27,817円の赤字です。
消費支出の主な内訳は以下の通りです。

費目

月額(単身高齢者)

食料

42,085円

住居

12,693円

光熱・水道

14,490円

家具・家事用品

6,596円

被服及び履物

3,385円

保険医療

8,640円

交通・通信

14,935円

教育

15円

教養娯楽

15,492円

その他の消費支出

30,956円

合計

149,287円

※住居費は持ち家率が85.2%と高いため平均12,693円と低めですが、賃貸の場合は別途家賃が必要です。


参照元:総務省「2024年(令和6年)家計調査報告」

参照元:総務省「2024年 家計調査 詳細結果表」

2. 娘世帯(3人家族)の生活費

同じく2024年の家計調査によると、3人家族の生活費平均は月310,096円です。

費目

月額(3人家族)

食料

87,876円

住居

19,278

光熱・水道

24,340円

家具・家事用品

13,302円

被服及び履物

9,970円

保健医療

15,604円

交通・通信

42,780円

教育

12,216円

教養娯楽

28,045円

その他の消費支出

56,684円

合計

310,096円


参照元:総務省「家計調査 二人以上の世帯・勤労者世帯・勤労者世帯(うち世帯主が60歳未満)・無職世帯」

3. 同居後(4人家族)の生活費試算

4人家族の平均生活費は月341,400円とされています。3人家族と4人家族の差額は31,304円です。

ただし、同居による「人数増加分」は単純な合算ではなく、親の住居や光熱・水道に関する費用は減少する可能性があります。

また、総務省「家計調査年報(家計収支編)2024年」によると、65歳以上の単身無職世帯は毎月27,817円の赤字ですが、同居によって親の住居(13,677円)と光熱・水道(14,528円)に関する支出が減少することを考えると差額分は親の可処分所得で賄える可能性があります。

【表】親との同居による生活費シミュレーション

費目

① 単身65歳以上

② 娘世帯(3人)現状

③ 同居後の世帯(4人)試算

④ 差額(増加額)

食料

42,973円

87,876円

96,328円

+8,452円

住居

13,677円

19,278円

15,120円

-4,158円

光熱・水道

14,528円

24,340円

24,593円

+253円

家具・家事用品

6,735円

13,302円

13,029円

-273円

被服及び履物

3,656円

9,970円

13,093円

+3,123円

保健医療

9,102円

15,604円

14,022円

-1,582円

交通・通信

15,984円

42,780円

51,087円

+8,307円

教育

12円

12,216円

30,030円

+17,814円

教養娯楽

16,311円

28,045円

33,980円

+5,935円

その他の消費支出

31,624円

56,684円

50,116円

-6,568円

合計(目安)

154,602円

310,096円

341,400円

+31,304円


参照元:総務省「2024年(令和6年)家計調査報告」

参照元:総務省「家計調査 二人以上の世帯・勤労者世帯・勤労者世帯(うち世帯主が60歳未満)・無職世帯」

【解説】表の数字の根拠とポイント

  • 食費は1人増で+8,000円程度ですが、まとめ買いや調理の効率化で1人あたりの増加は抑えられます。

  • 水道・光熱費は高齢者が在宅時間が長い場合、冷暖房や給湯の使用が増えやすく、増加が見込まれます。

  • 通信費は家族でインターネットや電話をシェアすることで、1人あたりの負担は減少しする可能性があります。

  • 交通費は通院や外出の付き添いが増える場合、やや増加の可能性があるでしょう。

  • 保健医療費は高齢者の医療費が増える一方、世帯合算で見ると大きな変動はありません。

  • 日用品・雑費はまとめ買いで効率化できるため、1人あたりの増加は限定的です。

【どう分担する?】揉めないための費用分担4つのパターン

同居による生活費の「増加額」をどう分担するかは、家族の状況や価値観によって最適解が異なります。主な分担方法とその特徴を整理します。

パターンA:親が定額を入れる「家賃・食費方式」

  • 親が毎月一定額(例:家賃相当+食費)を家計に入れる方式。

  • 【メリット】負担が明確でトラブルが少ない。親の年金範囲で無理なく設定しやすい。

  • 【デメリット】親の収入が少ない場合、子世帯の負担が大きくなりやすい。

パターンB:費目ごとに分担する「担当方式」

  • 食費は親、光熱費は子世帯など、費目ごとに分担。

  • 【メリット】各自の負担感が調整しやすい。親の希望や得意分野を活かせる。

  • 【デメリット】細かい計算や管理が必要で、曖昧になると不満の原因に。

パターンC:娘世帯が全て負担する「まるっとお任せ方式」

  • 生活費の増加分をすべて子世帯が負担。

  • 【メリット】親に気を遣わせずに済む。家計管理がシンプル。

  • 【デメリット】子世帯の負担が大きく、兄弟間で不公平感が生じやすい。

パターンD:共通の財布を作る「共同会計方式」

  • 親と子世帯で共通の口座や財布を作り、そこから生活費を支出。

  • 【メリット】家計の透明性が高く、支出管理がしやすい。将来的な介護費用にも備えやすい。

  • 【デメリット】お金の使い方で意見が分かれるとトラブルになりやすい。

要注意!月々の生活費以外にかかる「隠れ費用」

同居を始める際は、毎月の生活費だけでなく、見落としがちな「隠れ費用」にも注意が必要です。

初期費用(イニシャルコスト)

  • 引っ越し費用

  • 実家の片付け・処分費用

  • 住宅リフォーム・バリアフリー化

  • 家具・家電の買い替え

将来の費用(フューチャーコスト)

  • 介護サービスの自己負担分(介護度によって変動)

  • 高額医療費(医療費控除や高額療養費制度の活用も検討)

  • 冠婚葬祭費、親の交際費や趣味費用

  • 介護離職や時短勤務による収入減

これらの費用は、事前に家族で話し合い、必要に応じて積立や保険の活用も検討しましょう。

【最重要】家族と円満に話し合うための3ステップ

  1. 現状と希望を「見える化」する
    生活費の内訳や親の年金額、家族の収入・支出をリストアップし、現状を共有しましょう。
    どこまで親が負担できるか、どこから子世帯がサポートするかを「数字」で確認することが大切です。

  2. ルールを明確に決める
    生活費の分担方法や支払いのタイミング、家事や介護の役割分担も含めて、具体的なルールを決めましょう。
    曖昧なままにせず、必要なら書面に残すのも有効です。

  3. 定期的に見直し・話し合いを行う
    親の健康状態や家族の状況は変化します。半年~1年ごとに家計や分担ルールを見直し、柔軟に調整しましょう。
    トラブルを未然に防ぐためにも、家族全員が本音で話せる場を作ることが大切です。

まとめ

親との同居は、家族の絆を深める一方で、生活費や役割分担など現実的な課題も伴います。
本記事で紹介したデータやシミュレーションを参考に、まずは「わが家の場合」の増加額を冷静に把握し、家族で納得できる分担方法を話し合いましょう。

お金の話は遠慮しがちですが、最初にルールを決めておくことで、後々のトラブルを防ぎ、家族全員が安心して暮らせる環境を作ることができます。

「自分が我慢すれば…」と抱え込まず、家族みんなで支え合う仕組みを作ることが、長く円満な同居生活への第一歩です。