「人生100年時代」、定年後も元気にアクティブな生活を続けている70代の方は少なくありません。
しかし、これまで長年暮らしてきた持ち家や古い集合住宅から、「より暮らしやすい場所」「管理や防犯の手間が少ない住まい」に移りたいと考えるタイミングは誰にでも訪れます。
しかし、実際に賃貸住宅を探し始めると「高齢」というだけで入居を断られたり、条件に合う物件が非常に少なかったりと、想定外のハードルに直面することが珍しくありません。
そこで本記事では、公的統計データや現場の調査をもとに、70代の賃貸探しの現状・難しさの背景・対策のヒント、そして新たな住まいの選択肢まで詳しく解説します。
データで見る70代の住まいの実態
まずは、現在の70代がどのような住まいに暮らしているのか、数字から全体像を確認します。
漠然と「高齢者はみんな持ち家」と思い込んでいると、現実の賃貸市場とのズレが生じます。
持ち家か賃貸か?70代の居住スタイル
内閣府の令和6年度の調査によれば、日本全国で65歳以上の高齢者のおよそ8割は持ち家(一戸建てまたは分譲マンション)に住んでいます。
70-74歳では賃貸の割合が約12%、75-79歳になると賃貸の割合は10.5%となります。
年齢が上がるにつれ戸建て居住者の割合はさらに増え、90〜94歳では9割以上が持ち家暮らしというデータもあります。

しかし、これを「高齢単身世帯」に絞ると状況は変わります。単身高齢者の場合、持ち家率は約62%(戸建て59.3%、分譲マンションなど集合住宅3.3%)にまで下がり、賃貸住宅に暮らす割合は3割以上に増加します。

賃貸暮らしになる背景
生涯賃貸派として持ち家を購入せず暮らしてきた
パートナーとの死別や離別をきっかけに、コンパクトで利便性の高い賃貸住宅に移った
老朽化した持ち家の維持管理や階段昇降が困難になり、平屋やエレベーター付き物件へ移転した
こうした理由で、70代にも一定数の賃貸需要が存在しています。
参照元:令和6年度 高齢社会対策総合調査(高齢者の経済生活に関する調査)の結果
70代の賃貸探しが難しいと言われる理由
「高齢だから」という理由で賃貸契約を断られることは珍しくありません。では、その背景には何があるのでしょうか。
大家側の不安と心理的ハードル
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会のアンケートによると、60%を超える大家が高齢者の入居に抵抗を感じていると回答しました。主な理由は以下の通りです。
孤独死のリスク
単身高齢者の室内での死亡が長期間発見されない場合、事故物件扱いとなり、改修費や賃料損失が発生します。家賃滞納・契約トラブル
年金中心の収入による支払い能力への懸念や、急病・入院による家賃遅延などが心配されます。残置物処理の負担
遠方に住む家族や連帯保証人がすぐに対応できないケースも多く、貸主負担の恐れがあります。
こうした懸念が、審査段階での「年齢フィルター」となってしまっているのです。
参照元:【令和3年度国土交通省調査】(公財)日本賃貸住宅管理協会の賃貸住宅管理業に携わる会員を対象にアンケート調査(資料内p5)
高齢者可物件の供給不足
東京都内の賃貸住宅数そのものは年々増えていますが、その多くは若年単身者やファミリー向けです。
高齢者向けに必要なバリアフリー設計、緊急通報設備、手すりの設置などが整った物件はごくわずか。
公的住宅や区の家賃補助制度は存在しますが、供給規模は小さく、都営住宅では人気エリアだと倍率100倍以上になることも珍しくありません。
さらに、全国宅地建物取引業協会連合会「ハトマークサイト」の検索結果によれば、2025年7月24日時点で東京都23区内の「高齢者相談可」物件はわずか49件(全賃貸物件の3.5%)しかありませんでした。
しかもこれは「相談可」というだけで、実際の申し込みでは断られる可能性もあります。
参照元:賃貸アパート・マンション、不動産情報検索サイト - ハトマークサイト|(公社)全国宅地建物取引業協会連合会
70代の賃貸物件探しを成功させる5つのコツ
「物件が見つからない」「申し込みが通らない」と諦めかけている方もいるかもしれませんが、探し方を工夫することで道は開けます。
1. 高齢者入居に前向きな不動産会社を見つける
全ての不動産会社が高齢者入居を避けているわけではありません。貸主の不安解消に取り組み、契約成立に尽力してくれる担当者もいます。
複数の業者に相談し、対応が丁寧で粘り強い営業担当を選びましょう。
2. 「譲れない条件」と「妥協できる条件」を決める
希望条件のすべてを叶える物件は稀です。
例:日当たり、階数、エレベーター有無、医療機関やスーパーまでの距離など。優先順位を決めることで、提案物件が増えます。
3. エリアを広げ視野を広く持つ
希望エリアで物件が見つからない場合、少し範囲を広げると意外な良物件が見つかることもあります。東京の場合はシルバーパス活用のバス移動を前提としたエリア拡大も検討してみてください。
4. 生活費を見直して家賃予算を確保
家賃上限を少し上げるだけで候補の幅が広がります。不要な支出削減や貯蓄額の提示は入居審査でも有利になります。
5. 荷物を減らし広さにこだわらない
持ち物を整理してコンパクトな間取りも視野に入れることで、家賃を抑えつつ選択肢を広げられます。トランクルームや貸倉庫の活用も有効です。
新しい選択肢「アンジュプレイス」
近年は高齢者専用賃貸住宅という、新たな市場も広がりつつあります。
リコーリースが提供する「アンジュプレイス」は、原則60歳以上の自立〜要支援2の方が対象で、24時間365日の見守り・駆け付けサービスを完備。異常時は警備会社が即時対応します。
さらにオートロック、防犯カメラ、手すりなど安全面も配慮。駅徒歩10分以内でスーパーや医療機関が近く、生活利便も高い環境です。
保証人がいない場合でも保証会社利用ができ、一部ではペットとの同居も可能。これまで賃貸探しで困難を感じていた方にとって、非常に心強い選択肢となります。
まとめ
70代の賃貸探しは、持ち家率の高さや市場の供給不足、貸主側の心理的懸念など、複数の要因が絡み合って難しくなっています。
しかし、諦める必要はありません。
信頼できる不動産会社との出会い
条件設定の柔軟性
エリアや予算の見直し
専用住宅など新しい選択肢の探索
これらを意識してお部屋探しを進めることで、満足できる住まいが見つかる可能性は高まります。
70代は、これからの暮らし方を選び直す大きなチャンスとも捉えられます。
ぜひ前向きに、安全で快適な新生活を手に入れる住み替えを検討してみてください。